社会人の放課後

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映画「モーリタニアン 黒塗りの記録」を見て

最近映画を見ました
モーリタニアン 黒塗りの記録」です

 

刺激的な映画で、ショックを受けました
9.11実行犯のリクルーターであるという容疑をかけられ拘束された主人公スラヒ
容疑だけで証拠がないため裁判にもかけられず長い年月が過ぎます

 

スラヒが拘束されたのはキューバの米軍基地にあるグアンタナモ収容所
キューバにあるこの場所はアメリカの人権保障が約束されていません
そのため取り調べは残虐な方法で行われます
取り調べのシーンは目と耳を覆いたくなる内容でした
想像を絶する内容で人間の三大欲求を拘束します

拷問って、容疑者だけに対するものでなく取調官にも心身の苦痛を与えるものではないかと感じました

それでも映画のモデルとなったスラヒさん本人はアメリカ人を憎んでいないと言います

拷問の内容を隠ぺいするアメリカ人、隠ぺいを明らかにし事実を追うアメリカ人、
確かに映画で見るだけでもいろんな立場のアメリカ人がいるので
それが一つの理由なのかなと想像しました

しかしそれだけが理由ではないと思います

 

もう一つこの映画で描かれていた印象的な描写は宗教に関してです
スラヒさんがアメリカ人を許す理由、
検事のカウチさんが拷問の事実にたどり着き起訴できないと上司に訴える勇気、
これらの行動規範として各々が信じる宗教があります
宗教に関するマイナスなニュースがたくさんありますが
世界の多くの人を救っているものでもあると感じさせられました

ちなみにスラヒさんの弁護を行ったホランダーさんは無宗教のようですが、
法律を自身の信念として貫いている姿勢が見えました
凛としていてかっこいい女性です

 

ホランダーさんはスラヒさんの長期間に及ぶ拘束が不正だとして、国を相手に裁判を起こし
その訴えが認められスラヒさんは解放されます
スラヒさんの解放が意味することは、スラヒさんの冤罪ではありませんでした

アメリカは長期間の裁判なしでの拘束が不正だということは認めましたが
スラヒさんが無罪だということに関しては認めていないようです
スラヒさんに対して謝罪もないとのことです
スラヒさんが無罪かどうか、それは解放後にアルカイダ接触している様子がないから無罪なのでは?と想像するしかありません

もちろん同様に有罪である証拠もないはずです

無関係な人間であったか関係のある人間であったかの判決も下されていません

 

非人道的な拷問が行われたグアンタナモ収容所は現在も存在し
長期間収容されている人がいます
アメリカが実質の統制をおこなっていながらキューバ領であるために人権の保障がされない

それをいいことに人権侵害を米国の職員が行っている、そんなグレーな場所であり
1人の容疑者に対してのコストが膨大にかかるこの収容所、

アメリカでも閉鎖を支持する声も多く、バイデン大統領は任期中の閉鎖を目標としています
他の収容者もスラヒさんと同様に開放すべきでないかとも思います
しかし長期間収容されている人が皆冤罪であるかどうか
YESとはっきり言えない部分があるようです
グアンタナモ収容所から解放され、テロ活動に戻ったとされる人が少なからずいるとのことです
これも難しい問題で、簡単にグアンタナモ収容所を閉鎖できない理由なのでしょう

 

また、この問題について調べているなかで自由について考えさせられることもありました
拷問のプログラムを考える心理学者がいるということです
拷問とは単に容疑者に苦痛を与えるものではなく
学者と呼ばれる立場の人が内容を考えているのです
学問の自由、思想の自由によって
拷問について研究し、拷問を良しとする思想の人もいるのかと衝撃を受けました
私は思想の自由は尊いものだと思いながらも、上記の思想に対しては反対します

 

そして、正義に見える社会にも黒い部分があって
私が勝ち組の世界だと思っていた天上界にも理に沿わない出来事が蔓延しているのかと
夢のないことを考えました

 

こんな苦しい思いをする世界があるなら
今の平和ボケと呼ばれる社会でぬくぬくと過ごしていきたい
こんな恐ろしい世界を知りたくないとも思いました
平和ボケの人を増やして、平和でボケたポワポワしたピューロランドみたいな
世界を目指してはダメかなあ?